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元戦略コンサルが監修!30代中堅社員に送る生産性を150%アップさせる仕事術

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お客様の○○をコントロールするとプロジェクトは上手くいく

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コンサルティングというサービスは、AV機器や自動車のよ
うに目に見える形で提供されないものです。

この点は、コンサルタントからするとコンサルティングを
売りにくくしています。

一方、お客様からすると何をやってもらえるのか、どこま
でやってもらえるのかを判りにくくしています。

実際にプロジェクトを始めてお客様から「えっ!これはや
ってもらえると思っていたのに。何でやっていないのです
か」と言われることがあります。

この時に、キーワードとなるのが、お客様の「期待値のコ
ントール」です。

 

あるプロジェクトで起きた事

ある会社の事業再生の支援をしていた時の話です。

 その会社の情報システムは、既存のアプリケーションを導
入するのではなく、自社で独自に開発し、機能追加や仕様
変更も自分たちで行ってきました。

しかし、リーマンショック以降、この会社の業績は回復を
見せることがなく、事業不振が続いていました。

このため、情報システムの人員を削減せざるを得ず、社内
システムの整備が長年に渡り放置されたままになりました。

 

外部からの経営支援を仰ぐことになったのですが、事業再
生の取り組み課題の一つとして、この老朽化したシステム
を再構築することがあげられました。

システムの再構築にあたっては、自分たちでシステムを作
るのではなく、外部のパッケージアプリケーションである
ERPシステムを導入することになりました。

ERPというのは、Enterprise Resources Planning の略で、
日本語では「基幹系情報システム」との言われるアプリケ
ーションです。

 

私自身は、この取り組みには参加しませんでした。

外部からITコンサルタントを採用し、このシステム開発を
リードしてもらうことになりました。このITコンサルタン
トの指導の下、システム開発業者(システムベンダー)が
実際のアプリケーションの開発導入にあたる体制で臨みま
した。

 

社内での聞き取り調査

まず、このベンダーが行ったのが、社内でどのような業務
がどのような流れで行われているのかを聞き取り調査する
ことでした。

このベンダーに決定するときには、どのようなアプリケー
ションが導入されるのかは決まっていました。

しかし、具体的にこのアプリケーションにどのような機能
が備わっているのかについては、社内に充分な説明がされ
ないまま、聞き取り調査が始まりました。

 

社員の側からすると、「色々と説明しているのだけど一体
どうなるのだろう」という懸念が出始め、「一体どんなシ
ステムになるのですか」という質問が出ました。

それに対して、ベンダーからは「聞き取り調査が全部済ん
で、システムとのギャップを把握した上でお答えします」
と明言を避けました。

 

聞き取り調査の中では、現在の仕事の進め方だけでなく、
現場が変えている悩みや問題も聞いていた様です。

そんな作業が続いていくうちに、社員の中には「システム
はこんなこともできる」「あんなこともできる」とどんど
ん期待が膨らんでゆきました。

 

やがて聞き取り調査も終わったのですが、ここで問題が発
生します。

 

大量のカスタム開発の発生

この会社の業務の進め方や、社員の要望や悩みを解決しよ
うとすると、このERPシステムの基本機能だけでは解決す
ることができず、大量の追加開発(カスタム開発)が必要
になりました。

その追加の工数を見積もると、予算を大幅に上回ることに
なり、予算に収めるために多くの要望や機能が削除される
ことになりました。

この削除の優先づけは、ITコンサルタントとベンダーで行
われましたが、その判断基準が開発の難しさに基づいて行
われたため、現場の社員はなぜ自分たちの要望が削除され
るのかが理解できず、不満や不信が発生しました。

 

なぜこんなことが起きてしまうのか

この一連の出来事は、コンサルタントとしてお客様の期待
をコントロールできなかったが故に起きてしまったと言え
ます。

お客様の側は、これまで外部と協業してシステム開発をし
た経験がなく、社内のシステムはすべて内製で作られてい
ました。

この内製のシステムは、自分たちの仕事の進め方や要望を
含んだもので、お客様にとってはシステムというのは自分
たちの仕事に合わせて作られるものという理解や期待があ
ったはずです。

一方、ベンダー側としては、最初から「何でもできます」
と言って後で墓穴を掘というリスクを避けながら作業を進
めてきました。

そんな両者の認識の食い違いを解消しないままにしておい
たため、最終的にお客様の不満につながったと言えます。

 

それでは、このような最悪の事態を避けるためには何をす
ればいいでしょうか。

 

  • プロジェクト目的の共有
  • 「やるべきこと」「やるべきでないこと」の明確化
  • こまめな作業の進捗

 

プロジェクト目的の共有

プロジェクトを始めるときには、お客様とこのプロジェク
トでは何を実現するのか、プロジェクトの目的について認
識を合わせる必要があります。

上記のプロジェクト事例では、ERPシステムを導入するこ
とが目的ではなかったのです。本当の目的は、今までの業
務の進め方を抜本的に見直して、ムダやムラを排除し、生
産性の高いオペレーションを実現することでした。

システムというのはその目的を達成するための手段の一つ
にすぎません。

この点を把握していなかったために、結局現在の仕事の進
め方を踏襲したまま、システムの設計をしてしまいました。

この会社は長年に渡り、自社の中で仕事の進め方を独自に
進化させてきたため、世の中で普及しているERPシステム
との考え方と食い違う点が多く、そのやり方をそのままシ
ステム化しようとすると多くの特別対応(カスタム開発)
が必要になったという訳です。

 

「やるべきこと」「やるべきでないこと」の明確化

コンサルタントのサービスは目に見えないものなので、お
客様としては「その道のプロなんだから、これくらいはで
きるだろう」と勝手な思い込みをすることがあります。

プロジェクトが開始前に、その目的に従ってコンサルタン
トして「やるべきこと」や「やるべきでないこと」を明確
に定義し、お客様の同意を得ることです。

 

こまめな進捗報告

フォーマル、インフォーマルに限らず、お客様にはプロジ
ェクトの進捗について、こまめに報告しなければなりません。

プロジェクトが進むにつれて往々にして、報告が「予定通
りに進んでいる」とか「若干遅れ気味」とか目の前の作業
にフォーカスすることがよくあります。

報告は、あくまでも作業がプロジェクトの目的に従ってい
るかを念頭に置きながら進めるべきです。

こまめな報告をすることで、お客様の方にもプロジェクト
の目的が常に明確になり、あなたが「やるべきこと」以外
で依頼することはなくなります。

 

最後に

いかがでしたか。

プロジェクトを成功に導き、かつお客様の満足を確実なも
のにするためも、お客様の「期待値」のコントロールは重
要な活動になります。