【書評】「稼ぐ言葉の法則」

  • 書籍名:稼ぐ言葉の法則―「新・PASONAの法則」と売れる公式41
  • 著者名:神田 昌典

前半は、いわゆるコピーライティングの本で、後半は、著者のこれまでのコンサルティング経験から得たビジネスの成功公式となっています。

個人的には、前半のパートが非常に参考になりました。

著者の神田氏は、これまで2万人を超える経営者や起業家を支援した経験があり、そこから導き出した、誰にでも発揮できる「売る力」を習得するノウハウを「新・PASONAの法則」と名付けています。

神田氏によれば、 「売上を増やすために必要な工夫は、どう言うか(How)より、誰(Who)に、何(Whhat)を、どの順番で(When)言うか」が大切です。

もう少し詳しく説明すると、売れるコピーを書く際に必要なのは、まず、自社や自社の商品・サービス、顧客について、5つの側面から情報を整理する(誰に、何を)その整理された情報を5つのパートに分けて順番に伝える(どの順番で)

その伝える5つのパートの頭文字をとって「新・PASONAの法則」としています。

 

5つの質問とは、

  1. 商品・サービス
  2. 顧客
  3. 自社
  4. 共感
  5. 証拠

で、5つの質問の伝え方というのが、

  1. P: Problem (問題)
  2. A: Affinity (親近感)
  3. S: Solution (解決策)
  4. O: Offer (提案)
  5. N: Narrowing down (絞り込み)
  6. A: Action (行動)

となります。

 

5つの質問

質問1: 提供される商品・サービスの特徴を2つ、20秒以内で直感的にわかるように説明できるか

これにより、商品・サービスが提供する価値を明確にします。

質問2: この商品を20秒以内で説明しただけで「何とか売ってくれ」と頭を下げて懇願してくるお客は、どのようなお客か

この質問は、顧客が受け取る価値を明確にするものです。

この質問を考える際に必要になるのが、顧客の痛みを自分の痛みとして感じられる感性です。

人が行動を起こすには、何かしらのきっかけが必要です。

その差し迫った必要性というのは、「苦痛を避ける」か「快楽を得る」のどちらかです。

商品・サービスを買ってもらうためには、「苦痛を避ける」という視点を提示することだ大切です。

質問3: 似たような会社がある中で既存客はなぜ自分の会社や商品を選んだのか、選ばれる理由は何か

「買いたい」と思っているお客様の背中を押すには、自社に対する信頼性を持ってもらう必要があります。

この点を考える時に有効な手段が、自社の強みを既存客の視点から考えて、新規客に伝えることです。

お客様に信頼を与える情報としては

  • お客様の声
  • 社長、社員の顔写真
  • 社歴
  • 取引先リスト
  • 著名人との写真
  • マスコミ掲載記事
  • テレビ広告、新聞広告
  • 研究論文
  • 表彰歴
  • 権威漬け、肩書き、学歴
  • 社会貢献への取り組みなど

質問4: 顧客の「怒り・悩み・不安・欲求」を「五感」を使って表現するとどうなるか

この質問は、顧客の内面に入り込み、顧客の「怒り・悩み・不安・欲求」を理解していることを示すことで、顧客からの「共感」を得るために考えます。

質問5:顧客の購買に対する判断が正しいと思わせる「証拠」は何か

人というのは、商品・サービスの購買を決定する時に、その商品・サービスが提供する解決策が好ましいものかを感情で判断し、その上でその解決の選択が正しいかを理性で検討します。

このため、その判断のための情報が足りないと、どんなに良い商品・サービスであっても、人は変化に慎重になり、自分にとって役に立たないと証明しようとします。

そのような傾向に対して、

  • なぜ、この商品をその悩みを簡単に短時間で解決できるのか
  • それを聞いた途端、お客はどんな疑いを持つか
  • その際疑心を晴らす「具体的・圧倒的な」証拠は何か

に対する答えを予め考えておく必要があります。

 

5つの質問の伝え方

5つの質問で明確になった自社や自社の商品・サービス、顧客が明確になったら、次にそれらの情報を効果的に見込み客に伝えるために、ある順番で提示します。

その順番が、「問題」「親近感」「解決策」「提案」「絞り込み」「行動」です。

P: Problem (問題)

顧客が直面している問題、もしくは顧客が切望する欲求を明確にする

A: Affinity (親近感)

買い手と同じ痛みや、同じ望みを持っていることをストーリーや五感を通じて描写する

S: Solution (解決策)

問題が解決、もしくは欲求は実現できる方法があることを伝える

O: Offer (提案)

具体的な提案を行う。サンプル、モニター、お試し、価格、特典を明示する

N: Narrowing down (絞り込み)

提案を受け入れ、問題解決できる、もしくは欲求実現できる人が満たさなければならない条件を挙げる

A: Action (行動)

緊急に行動しなければならない理由を挙げ、行動への後押しをする。

基本的には、この順番で伝えればいいのですが、慣れてくればこの順番は変えてもいいそうです。

この法則から神田氏が伝えたい点としては、「売り手とは、商品がもたらす新しい世界を体験することによりう、買い手がヒーローになるよう導いていくメンターの役割を担っている」ということです。

 

最後に

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本日の記事はいかがでしたか。

商品開発に携わっている人には勿論のことですが、そうでない人でも読んでためになる書籍です。

yujiro akimoto
  • yujiro akimoto
  • 【経歴】
    兵庫県神戸市出身。

    大学卒業後は、日系の精密機器メーカーに入社。約9年間に渡り人事、海外販売 (東南アジア地域)、営業支援などの業務を経験。

    その後、コンサルティング業界に転職。
    戦略コンサルタントとして、通信業・製造業・専門サービス業などのクライアントに対する戦略立案や戦略の実行支援などに携わる。

    コールセンター会社の経営企画と人事の担当役員として事業会社の経営に携わった後に、株式会社秋元アソシエイツを設立し、組織の生産性向上などのコンサルティングサービスを提供する。

    【資格】

    Marshall Goldsmith Stakeholder Centered Coaching (Certificated Coach)
    全米NLP協会 プラクティショナー
    TOEICスコア: 915

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