リーダーが行動を変革させために必要な4つの誓いとは?

企業が市場環境の変化に対応してさらに成長させるためには、経営者や管理職といった人たちのリーダーシップ能力が重要な成功要因のひとつつになります。

エグゼクティブコーチングの第一人者であるマーシャルゴールドスミス氏は、「私のミッションは成功したリーダーがポジティブ・長期的・測定可能な行動変革を実現するのを手伝うことだ」と言っており、リーダーが行動を変革させることがリーダーシップ力の強化につながります。

そのゴールドスミス氏が、Executive Excellenceにリーダーの行動変容に関して「優れた人への変化 そして、それを永久なものにする」という論文を投稿しました。

本日は、この論文を紹介します。

なお、マーシャルゴールドスミス氏の論文の翻訳については、ゴールドスミス氏ご本人の承諾のもとで行っております。

 

優れた人への変化 そして、それを永久なものにする。

いかなるリーダーの悩ましい癖と対人的な欠点のほとんどは、情報の無理強いに根ざしている。

共有することと公表しないことは、色褪せたコインの二つの面である。例えば、あなたがひと言付け加えようとすること、

批判をすること、破壊的なコメントをすること、あなたが既に知っていると伝えること、なぜそれが上手く行かないか説明すること、などを要求する時、あなたは自分が人を賢くしているか、彼らがより良くできるよう元気づけていると確信して(しかし反対の効果がありがちな時である)、衝動的に情報を共有している。あなたが正しく評価できなかった時や、あなたが値しない功績を主張する時、誤ることを拒む時、感謝を示さない時、あなたは情報を公表していない。

他の悩ましい癖は、感情が中心となる異なる無理強いに根ざしている。あなたが怒る時、えこひいきをする時、八つ当たりをする時、あなたは感情に負けていて、それを皆が見える
ように示している。

あなたは、情報や感情を共有するか、それらを公表しないのかどちらかだ。もし、人を助ける情報を共有することが良いことで、人を傷つける時に情報を公開しないことが良いことなら、(多くの秘密は守られるだろう)。

同じことは感情にもあてはまる。それは時々共有する価値があるし、他の時には全く価値がない。

 

何が適切か?

情報や感情を扱う時、あなたが共有しているものが適切かどうかを考える必要がある。適切な情報は他の人を助ける。

不適切な情報は誰かを傷つけるリスクがある。ライバル企業の幸運を議論することは、もし従業員を懸命に働かせるならポジティブだ。しかし、それが不適切なら、それは他の人の評判を傷つける。指示は通常ある程度まで適切である。もし誰かがあなたに家までの簡単な方向を与えるが、その途中の全ての曲がり角で間違った方向を告げるとどうなるか。ある点で、沢山の赤旗でもって、あなたは道に迷い、混乱し、その旅行をするのに全く慎重になる。

感情はまた適切に共有されなければならない。例えば、愛はしばしば適切な感情であるが、もし、あなたがそれを非常に頻繁に使ったり、ぎこちない場面で使ったりするなら、「愛している」と言うのは不適切になる。反対に、怒りはもしあなたが適切な瞬間で少しだけでも出せば、役に立つツールになる。

情報や感情を共有する時、「これは適切か」とか「どのくらい伝えなければならないか」と聞く。

あなたがやったり言ったりすることへのガイドラインとして、それらの質問を一時停止し、そして止める。あなたは自分の悩ましい行動を変えられる。そしてあなたの同僚は気づくだ
ろう。

 

フィードバックを取り扱う

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極秘の360度フィードバックは、成功した人たちが彼らの関係において何を改善する必要があるかを特定する最も良い方法である。成功した人たちは、ネガティブなフィードバックを取り扱う時二つの問題を抱えている、(1) 私たちからそれを聞きたくない、(2) 私たちがそれを彼らに与えたくない、の二つだ。

成功した人たちは、信じられないくらい自らの達成について誤った思い込みがある。彼らの95パーセントは、グループの中の上位50%以上の実力があると信じている。

人にネガティブなフィードバックを与えることは、彼らが間違っていると証明することを意味する。これは彼らを変えさせるのには機能する。それは起こらない。

フィードバックは、あなたがその仕事を話すことでフィードバックを非人格化する時でさえ、ほとんど成功した人を打ち破ることはない。彼らのアイデンティティーは、しばしば彼らがやっていることに密接に関連するので、ネガティブなフィードバックを受け取る時にそれを個人的なものと受け取る。自分たちの自己イメージに一致するフィードバックを受入れ、その他の全てのフィードバックを拒絶する。

なぜ私たちがフィードバックを与えたくないのかは容易に分かる。成功した人たちは私たちに対してパワーがある。給与、昇進、雇用の保障などだ。人が成功すればするほど、多くの権力を持つようになる。その権力とネガティブなフィードバックに対する予測可能な「八つ当たり」的な反応を組み合わせる、そうすればあなたはなぜ皇帝たちが服を着ずに治め続けたのがわかる。最後にあなたがキャリアを高める策略としてボスが間違った仕事をしていると証明しようと努力したのはいつのことだろうか。

伝統的な対面のネガティブなフィードバックはまた、ポジティブな将来ではなく、過去(失敗した過去)に注力している。私たちは過去を変えられない。私たちは未来を変えることができる。ネガティブなフィードバックは、私たちが間違っていると証明するために存在する(少なくとも私たちはそういう風に受け取る)。フィードバックは他の人によって私たちの失敗の感情を強化するために、それとも少なくともそれを思い出させるために用いられる。

そして私たちの反応がポジティブなことはほとんどない)。あなたの配偶者やパートナーがあなたの欠点を思い出させる時、どのくらい良くあなたはそれを受け入れるだろうか。ネガティブなフィードバックは私たちを黙らせる。私たちはランクを呑み込み、殻をとじ、
世界を閉め出してしまう。

私はネガティブなフィードバックが機能不全を作り出すことを証明しようとはしていない。フィードバックは私たちがどこにいるのか、何を変えるべきかを教えてくれる有益なものである。フィードバックがなければ、自分たちが良くなっているかを知ることさえできない。私たちは、私たちがどこにいて、どこに行く必要があるかを知り、進捗を測定するために正直で役に立つフィードバックが必要である。

そんなフィードバックを見つけるのは難しい。しかし、私にはそれを確実にする誰にでもできる方法がある。

私がクライアントと仕事をする時、最初に12名以上の仕事仲間からの極秘のフィードバックを得る(仕事仲間はクライアントによって選ばれる)。各々のインタビューは、一時間ほどで、クライアントはどんな正しいことをしているか、クライアントが変わるために何が必要か、

私の(すでに成功した)クライアントはどうすればより良くなれるかに注目する。

クライアントは評価者を選ぶので、彼らにとってフィードバックの正当性を否定するのは難しい。私は仕事仲間に変革のプロセスを支援するよう協力を求める。私は彼らにこう告げる。「私はあなたの上司と一年間仕事をします。もし彼が良くならなければ、私は報酬を頂きません。『良くなった』というのはあなたや他の仕事仲間が定義します」。人はこれを聞くのを好む。

 

四つのコミットメント

私はそれから仕事中に四つのリクエストを提示する。

その四つのコミットメントとは、

コミットメント1:過去を水に流す。あなたが過去に人に、どのような本当もしくは想像の罪を犯したとしても、それはずっと昔の間違いだ。あなたはそれを消すためには何もできない。だから、あなたは人に過去を水に流すよう依頼する。これは簡単ではない。私たちのほとんどは、両親、子供、配偶者を完璧でなかったということで決して許さないし、自分自身を決して許さない。この最初のコミットメントを得ることなしに、あなたは人の心
を批判家からヘルパーに変えることはできない。

コミットメント2:真実を語る。あなたは、人はあなたが間違ったことをしていると告げたことに基づいてより良くなろうとしている。なのに、彼らは本当にそういう意味でないことが分かったら、一年間も懸命に取組みたくない。彼らはあなたが聞きたいと思ったことを言っているだけだ。私は馬鹿正直ではない。私は人が不正直になることを知っている。しかし、もしあなたがそれらの人から正直さを求めるなら、あなたは正しい方向に進んでいるという自信を持って前進できる。そして、あなたは最後に無礼な驚きを得ることはないだろう。

コミットメント3:ネガティブでなく、支援的で役に立つようになる。これは多くの人に皮肉屋、批判家、裁判官になることなく、支援的になることを依頼している。人は上司を疑ったり、不快に思ったりするのと同じく、彼らを尊敬し賞賛する傾向がある。だから、彼
らの判断したい衝動を取り除かなければならない。そうすると彼らはより役に立ちたいという気持ちになる。

彼らはもしあなたがより良くなれば、彼らもまた勝利することを理解する。彼らは親切で、寛大で、良い上司を得る。

コミットメント4:あなた自身も改善する何かを選ぶ。このコミットメントは、全ての人が改善に注力するのを手助けする。あなたは、あなたと他の人を同等にし、結びつきを作っている。あなたがダイエット中だと知らせた時を想像してほしい。ほとんどの人は気にしな
いだろう。しかし、もしあなたが同僚にあなたの食習慣を監視し、横道にそれないような手助けを依頼したなら、より関与した真摯な反応が得られる。あなたが相互依存関係を付け加える時、つまり「今、あなたは自分自身で何を変えたいですか。私はあなたを助けた
いのです」と言う時、あなたはより多くのサポートを得ることになる。突然、あなたとあなたの仕事仲間は、改善するという同じ努力に取組むことになる。

 

ウィン・ウィンの交換

この双方向の交換において、あなたと他の人はまた、それに忠実であるという強みを得る。他の人を関与させることは(何かを変えるとコミットする)、あなたの経験を豊かにする。あなたは同僚から支援を得ているから変化するだけでなく、彼らもあなたをサポートする際に学ぶことにより変化するのだ。

あなた自身とあなたを手助けする人を変えることに等しく強調する。あなた自身へのフィードバックを求める前に、あなたにあなた自身についての真実を語る人を見つける。もし彼らが四つのコミットメント全てで資格があるなら、彼らを招待してフィードバックを共有・受領する。

アクション:これらの四つのコミットメントを用いる

いかなるリーダーの悩ましい癖と対人的な欠点のほとんどは、情報の無理強いに根ざしている。情報や感情を取り扱う時、あなたはもしあなたが共有するものが適切かを考えなければならない。極秘の360度フィードバックは成功した人たちが彼らの関係において改善するために何が必要かを特定する最高の方法である。成功した人たちは信じられないくらい自分たちの業績について間違った思い込みをしている。どうすれば成功したリーダーになるかについて、四つのコミットメントがある。

(1)過去を水に流す、

(2)真実を語る、

(3)ネガティブでなく、支援的、役に立つようになる、

(4)自分自身を改善する何かを選ぶ。あなた自身とあなたを手助けする人を変えることに
等しく強調する。

 

最後に

本記事はいかがでしたか。

リーダーが変わるためには、本人が変わる気があるか(コミットメント)が重要になります。

yujiro akimoto
  • yujiro akimoto
  • 【経歴】
    兵庫県神戸市出身。

    大学卒業後は、日系の精密機器メーカーに入社。約9年間に渡り人事、海外販売 (東南アジア地域)、営業支援などの業務を経験。

    その後、コンサルティング業界に転職。
    戦略コンサルタントとして、通信業・製造業・専門サービス業などのクライアントに対する戦略立案や戦略の実行支援などに携わる。

    コールセンター会社の経営企画と人事の担当役員として事業会社の経営に携わった後に、株式会社秋元アソシエイツを設立し、組織の生産性向上などのコンサルティングサービスを提供する。

    【資格】

    Marshall Goldsmith Stakeholder Centered Coaching (Certificated Coach)
    全米NLP協会 プラクティショナー
    TOEICスコア: 915

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